「代戯館」
(このHPは主に明治史料館刊行図書資料を元に作成)
(沼津兵学校附属小学校)

「日本最初の近代小学校」

沼津兵学校は、明治初年、静岡藩すなわち旧徳川将軍家によって設立された学校です。何といってもそれまで270年余にわたって日本の政権を担当してきた徳川家が設立者でしたので、当時においては、明治政府や他藩をはるかにしのぐ優れた教授陣と教育内容を誇っていました。特にその学校の組織・制度や英学・仏学・洋算などの学科にみる優れた特色は、幕末以来の幕府による西洋文化吸収の成果が集大成されたものといえます。

兵学校自体は、わずか3年半しか存続しませんでしたが、それは明治政府に取り込まれ、陸軍士官学校の一源流となったほか、附属小学校は日本最初の近代的小学校として、その後の近代教育制度に影響を及ぼしました。

また、兵学校で教え、学んだ人材の多くは、軍人ばかりでなく官僚・学者・技術者・実業家・政治家・教育者などとして、日本の近代化を推進する指導的・中堅的存在になりました。沼津という小さな町に、わずか3年半という短い期間に存在したにすぎない沼津兵学校から、これほど多くの人材が輩出したということは驚くべきことです。

沼津兵学校は、幕末と明治の接点に位置し、その人材は幕末と明治をつなぐパイプ役を果たしたといえます。江戸→沼津→東京という軌跡は、沼津兵学校の歴史的意義を象徴しているといえます。

沼津兵学校設立から120年近い歳月が流れようとしている今日、もう一度沼津兵学校の意義を認識していただければ幸いです。

(昭和6181日沼津市明治史料館)